この記事はグラフィックレコーディング Advent Calendar 2019に参加しています。

今年はグラフィックレコーディング Advent Caledarがふたつもあります! Part2もぜひごらんくださいね。

いつもはブログの書き出しで自己紹介をしませんが、今年はアドベントカレンダーが大盛況なのでかんたんにごあいさつを。
ナミといいます。グラフィックレコーディングのできるファシリテーターとして、神戸をベースに全国で活動しています。メインの仕事はITっぽい勤め人です。
「ファシリテーション文具の人」としての道具愛は、昨年のアドベントカレンダー記事と、気になったらこのブログ全体をご覧いただければおわかりいただけるかと……。
文具のパーソナル化進行中
神戸オフィスフェアの記事でも書いたとおり、今年も文具のトレンドは「個人向けはますます繊細に、組織向けはオフィスや業務まるごとコンサルティング」の二極化傾向を強めているような気がします。
ただ、私が勝手に提唱している「ファシリテーション文具」とは主に集団での知的作業に役立つツールであればよいので、個人向けの筆記具などを使いつつも最終的に場に役立てば何でもよいじゃないか、という気もしています。私はもともとゲリラファシリテーターですし。
逆に、組織からファシリテーション的(facilitative)でしょう! と押しつけられるのもまっぴらですね。オフィスを整えれば何かがファシリテートされるわけではなく、それを作る前段階の議論がファシリテートされていないとよい環境は作り得ません。例えばこの事例のように。
Neulandがバレットジャーナルキットを出した
さて、ファシリテーション文具といえばドイツのNeuland(ノイラント)。
個人持ちのマーカーからオフィスコンサルティングまで、ファシリテーションのファシリティをすべてカバーする、世界唯一と言ってよい企業でしょう(みんな大好きですね!)。
私もときどき取り寄せますが、つい先日思わぬ新商品が目に飛び込んできました。
バレットジャーナルのキットです。ノート、シール、マーカー、鉛筆、そしてなぜかティッシュペーパーがセットされています。
バレットジャーナル(Bullet Journal/以下BuJo)とは手帳術のひとつで、もともとは箇条書きでタスク管理をしようという考え方で始まりましたが、SNSではイラストで華やかに彩られたノートとして発信されていることでも知られています。
「思わぬ新商品」と書きました。それを見たとき、私は「BuJo?! パーソナル文具の最たるものじゃないか。これはファシリテーション(あるいはコラボレーション)なのか?」と思ったのです。
BuJoは自分のために書くものだし、ましてや、イラストのシール(しかも色塗りしやすい紙のシール)がメインみたいに見えるし。イラストもりもり系のBuJoをNeulandが提案してどうなる? と思ったのです。
目的が明確でないと起きる「思ってたんとちがう」
BuJoについては、手帳ファンの間でたまに論争が起こるようです。自由度が高い手帳術なので各自が好きな取り入れ方をして、それをSNSで他者が見たときに「自分の思ってたのと違う」みたいなかんじになるようです。私がNeulandのBuJoキットを見たときに感じた違和感も、この「思ってたんとちがう」なのかもしれません。そのポイントはおそらく2点あったと思います。
- BuJoは個人のためのものなので、Neulandが扱う商品ではないのでは
- イラストもりもりを提唱するのか……。
しかしこれは完全に私の思い込み、バイアスですよね。
- BuJoは個人でするものなので、Neulandが扱う商品ではないのでは
→BuJoは内省にとても役立つメソッドです。メンバーひとりひとりがしっかり内省してコラボレーションの場に集まれば、生産性はさらに高まるのでは? それに商品説明文には「BuJoワークショップ向けのキット」と書いてある。そういうビジネスなのだ。何を売るか最終的に決めるのはGuido(NeulandのCEO)だし。 - イラストもりもりを提唱するのか……。
→私の中では、BuJoはタスク管理ツールという思い込みが強かったのですね。BuJoをめぐる話の中に「イラストに凝ることはBuJoの本質か?」という論点があります。その話を私は「タスク管理は好きなように書けばいいし、イラストを描くのだってそのプロセスが楽しいので、その時間は有意義(ただ、イラストは必須ではないけど)」と眺めていたのに。
結果(効果)か、プロセスか。それぞれの思い込みで話して、どちらに重きを置くかの前提を共有していないから論争になるとは言えそうです。「思ってたんとちがうー!」
「描くやつ」に引き寄せて考える
さて、ようやっとグラフィックレコーディングAdvent Calendarに関係ある話になります。
私は自分の整理のために、「スケッチノート」と「グラフィックレコーディング」を次のように呼び分けています(定義しようとかいうのではないので念のため)。
スケッチノート
デジタルも含め自分のために描いてリアルタイムには場に共有しない形式。個人的には、全編を他者と共有するケースも少ないです。自分の意見や闇も描くから。笑

グラフィックレコーディング
場にいる人全員でリアルタイムで共有しながら描く形式。公開OKの案件でしたらSNSにもどうぞどうぞ、ですが、実はその場にいない人はなんとなくしか理解できないだろうと思っています(私の描くやつはね)。

これまでに描いたものを見返すと、ぱっと見は似ているのですが、表現方法や描きながら考えていることが明らかに違うと思い出されました。
スケッチノートは個人的なものなので、話の進み方を無視してゆっくり描くことができ、”当社比”ながら少し絵が上手だったりします。そして、完全にコンテンツに集中して内容を理解しています。
対して、場のために描くグラフィックレコーディングはほぼプロセスのことだけに集中していました。この場はどこに向かっているのか、この投げかけは場にどう影響しているのか、そしてそれらをどう拾い、描き留めていくのか。コンテンツの理解は、プロセスに関わるためのもの程度です(ただし事前に大量にインプットして臨みます)。
私はもともとファシリテーションからグラフィックレコーディングの世界に入ったので「場のため」の意識が特に強い傾向があります。このブログでも自身のグラフィックレコーディングは「場のため」に描くとの前提がすべての記事に共通しています。
その反面、描くことを始めた人には「楽しいのがいちばんですよー」と言っています。描くことそのものを楽しむのか、場に貢献することを目指すのか。これもBuJoと同じく、何を目指すかはその時々によって変わるのでしょう。必要なのは、描く人自身が、そして場を作る関係者が目的を明確にして合意しておくことですねえ。言わなければ伝わらない。
来年は講座のお話をいくつかいただいているので、ますます気をつけてやっていきたいところです。
バイアスから自由になろう


あ、もちろんNeulandのBuJo用シールは買いましたよ!
個人的にBuJoはタスク管理派なのでイラストは描きませんが、このシールをBuJoにだけ使うというのも思い込みじゃんねー、単にかわいいシール&イラストのお手本として使えばいいじゃんねー、そう、バイアスを取っ払う道具として!(嘘ですただかわいくて買っただけでお手本は後付けの理由です)
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