【書評】『ふせんの技100』

ふせんの技100 03_ファシリテーション文具案内

手帳評論家の舘神龍彦氏は以前「手帳王子」と名乗っていらしたと思うのですが、気がついたら「(人呼んで)ふせん大王」に即位してらっしゃいました。しかも奥付のプロフィールは「ふせん評論家・手帳評論家」になっていました。

そんな舘神さんの新刊が『ふせんの技100』。さまざまな種類のふせんを取り上げ、ベーシックな使い方から「その発想はなかった!」というアイデアまで100連発で紹介する本です。これは、自称・ファシリテーション文具エバンジェリストはチェックせねばなりません。

本書は3つの章に分かれており、まず第1章を「発想と関係を生み出す」と題してファシリテーション的な使い方を多く紹介しているのに好感が持てます。アイデアを書き出しグルーピングする方法(一般的な75×25mmのふせんや、ポスト・イット強粘着ノート アイデアパックを紹介)や、会議テーブル上で議事録をとる方法としてイーゼルパッドが紹介されています。

余談ですが、某所備品置き場にずーっとあって、みんな「海外から取り寄せた物」と信じていた「正六角形のふせん」に似た商品が国産品にあり、Amazonでも買えることがわかったのが大収穫。

こんなのです。アイデア広がりそうでしょう。

2019年5月追記:某所にあった六角形ふせんはやはり海外から取り寄せたものでした。Thinking Tools LLCという会社が販売しているもので、製品じたいは3Mポスト・イットの特注品です。カバー写真に利用したのはこちらの製品です。
Thinking Tools LLC
Thinking Tools LLC

しかし、100連発で紹介されている「ふせんの技」とはいえ、その中でファシリテーション的な用途で紹介されているのは実際のところ10あるかないか。用途の評価軸でも「みんなで」にマークされているふせんは多くありません。

ふせんの技100

「正六角形のふせん」でさえ「自分で」=一人で使う物とされている(p.16より引用)。

もちろん、個人の動きから物事を進めていくことができればファシリテーションではありますが、いまのところふせんは、市場ではパーソナル文具の性格が強いのかなと思わざるを得ません。

まあ、ファシリテーションにとって文具などしょせんツールの1つに過ぎず、少ない種類で応用が利く方が便利ですからそんなにバリエーションは必要ないかもしれません。でも。せっかくふせんと筆記具との相性について1ページ割いているのだから、細字のペンだけではなく、太いマーカーについてひとことあってもよいのでは! と思うのです。

ここは、私が宣伝頑張れということでしょうか。笑

総評

大好きなふせんの本! ということでついつい足りないと思うところも目についてしまいますが、おそらくこの本の想定する読者は「手帳術好きな人」「日々をなんとかしたい人」ではないでしょうか。
読者の多くは(この本のおおかたがそうであるように)おそらくふせんをパーソナル文具としてとらえていると思いますが、きっとファシリテーション的な使い方も想定読者の日々をなんとかする、よりよくすることにつながるはず。そんな方々に「アイディアパック」や「イーゼルパッド」の存在が伝われば、当ブログはとてもうれしいです。

著者が唱える「書くべし・はがすべし・そして貼るべし」。これはいい言葉ですね。一人でも、大勢でも、どんどん使っちゃいましょう!

↓「”みんなで”ふせん」の定番品!

この項目は、2016年12月28日に旧ブログで公開した記事に加筆修正したものです。
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