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グラレコ本の補稿(1):ツール解説・模造紙を使った現場編

描いて場をつくるグラフィックレコーディング

おかげさまで、2021年7月7日に発売された『描いて場をつくるグラフィック・レコーディング』は年を越しても出版記念イベントが続いており、息の長い本になるとよいなと思っております。私は2022年1月16日のイベントに登壇させていただきます。

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4ページ寄稿しただけでも「著者」として名前を出してくださっているとおり、みんなで作った本……というとありきたりな言い方になりますが、さまざまなジャンルの事例が集まっている、これまでにない「使い方」の本になっていると思います。書店でぜひご覧いただければと思います。

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さて、本書では私のパートも他の方同様、グラフィックの事例をご紹介していますが何か物足りないですね? そう、仮にもプロフィールに「ファシリテーション文具案内を運営」と書いている人なのに、文具の話といえば「カラフルな画材を使って上手に描くとみんな引くよ! 雑に行け、雑に!」みたいな温度感ですね。
たしかに「雑にやれ」というのは私にとってお伝えしたいことの一つではありますが、用意する道具を綿密に計算したうえでの雑さであることも同時に声を大にして申し上げておきたい。この補稿では、そんな準備のゼロ段階について書き足しておきたいと思います。なお、書籍に掲載した写真はいずれもフェイクを入れた再現です。

書籍では二つの事例をご紹介していますが、長くなりますのでまずこちらの記事では1事例目「対応ケース検討会議」の道具についてご紹介したいと思います。

模造紙とマーカーの現場〜「書く」文化がないということ

事例1「対応ケース検討会議」では模造紙とプロッキーを使いました。模造紙は手軽さを演出するために100円ショップで買い求めたもの、プロッキーはいつも職場に置いてある私物の黒・赤・青です。

ただし、正確には「模造紙とプロッキーを持ち込みました」です。

いや、ふつう模造紙持ち込みますかね? ていうか模造紙を小学校の自由研究以来手にしたことありますか?
「模造紙を取り出すとやはり場が少し構えてしまう」とか書いてるし。それ「少し」ってレベルですか? めちゃくちゃ引きますよね?
「たくさんの色ペンを持っていると不自然な印象を与える」って、ふだんからオフィスでプロッキーと模造紙持ってる時点で超不自然!

「そんなんできるわけないでしょう」と、自分で自分にツッコみたくなりますね。
こんな状況が成立したのは、ひとえにふだんの心がけのおかげです。心がけといえば聞こえはいいが、要は奇行の積み重ねですね……。

「議事録の修正を少なくするため」との名目でほこりをかぶったホワイトボードを引っ張り出し、ホワイトボードマーカーを持ち歩き、なにかというとプロッキーで書いたポスト・イットを壁に貼り、といった細かい行動をやり続けたうえでの模造紙貼り付けです。つまり、「この人は妙な板書キャラ」と周囲に充分印象づけていたからできたことといえます。

そのうえで、この事例では次のような「できるだけ自然に見せる工作」を図っています。

  • 模造紙は折りたたんで持ち込む
  • 話し合いがある程度進み、「描く」必要が出てから初めて模造紙を取り出す
  • 会議室に備え付けのマグネットをむりやり使う(具体的には、他の掲示物に使っていたものを外したりしてかき集める)。あくまで「思いついたから描く」姿勢を見せる
  • 基本色(黒・赤・青のみ)で雑に描く

いや、やっぱり模造紙が出てくることそのものが不自然ですね。ホワイトボードが使えないことを見越しての行動ではないですか。実務的には、ホワイトボードなどの書けるものがある会議室をとるのが最良の選択です(この事例の場合は、設備とセキュリティレベルの関係で特定の部屋から変更できない事情がありました)。

究極的には「書く(描く)文化のない現場ではじめる」ことに必要なのはひとえに自分がアホな人になる勇気であって、そこがみなさんの躊躇するポイントになるのかなと思わざるを得ません。精神論で申し訳ない限りです。

道具のご紹介

私たちのデファクトスタンダード・プロッキー。ふだんからオフィスに数本転がしておきましょう。テレワークのお供にも(本気で言ってます)。

模造紙の記事はこちらでまとめています。最近はダイソーにもフルサイズ模造紙が増えました。模造紙の時代が来ていますね(??)。

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補稿その2はこちらです。

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