過去に書いたものをあさっていたら、2016年の7月に「ボードマスターをほとんど全部試してみたら、手法によって使い分けるのがよさそうとわかった」みたいなことを書いていました。今日はその記事に新たな情報をプラスして、パイロットのボードマーカーについて改めて整理したいと思います。
パイロットコーポレーションのボードマーカー
大きく直液式と中綿式に分けられます。

直液式
直液式は筆跡が濃く、視認性に優れています。パイロットの中綿式と比較するとややペン先が柔らかい感触です。特筆すべきはその字幅のバリエーションでしょう。ボードマスターの交換インクはカートリッジ式です。
- ボードマスター
極太(平芯)/太字丸芯/太字平芯/中字丸芯/中字平芯/中細字(丸芯)
黒、赤、青、緑、橙の5色。

- ボードマスターS
細字(丸芯)/極細(丸芯)
黒、赤、青の3色。

- ホワイトボードマーカー みえみえ(生産終了、在庫限り)
中字のみ
黒、赤、青、緑、橙の5色。インク補充不可。

中綿式
中綿式は直液式と比較するとやや薄めのインク乗りです。そのぶん消しかすが少ないので、汚れが気になる環境向きです。ホワイトボードマーカー補充式は中綿式の中ではかなりはっきりした線の書けるマーカーです。また、小型の極細は国内メーカー品で最も細い文字を書くことができます。
- ホワイトボードマーカー 補充式
中字大型/中字中型
黒、赤、青、緑、橙の5色。

- ホワイトボードマーカー 小型
細字/極細
黒、赤、青の3色。インク補充不可。

それぞれの字幅を比較
ボードマスターSの細字、ホワイトボードマーカー細字は手持ちにないのですが、それ以外のマーカー字幅を比較しました(すべて揃えずこういう記事を書く……)。
これはA4判のバタフライボードを広げて書いています。平芯は太い面と細い面、両方を使って線を引きました。
以前の記事でも書きましたが、同じ「中字」と言ってもボードマスターとホワイトボードマーカーでは字幅が少し異なります。

平芯か、丸芯か。選ぶときの考え方
平芯と丸芯はそれぞれ特徴があるので、書くスペースや目的(情報量)、ご自身の書き癖によって最適解が異なると考えています。例えば、私が中字平芯を使うケースでも他の方は太字丸芯を使う可能性もあるということです。
以前、いろいろな種類のホワイトボードマーカーを試すワークショップを開催したことがあります。その際もそれぞれ好みのマーカーに違いが出ました。資料を公開しますので、ご参考になさってください。
このワークショップの様子は下記の記事からご覧ください。

用途別の考察
掲示、講演
比較的大きな会場で遠くから見る必要があるケースです。ぜひ、ボードマスター極太の採用をご検討ください。極太の使用例をご紹介した記事はこちら。

私は模造紙を使うワークショップにも、必ず極太のセットを持参します。部屋の案内や、休憩時間などのインストラクションを書くのに便利です。
会議や授業などの板書
いわゆるファシリテーショングラフィックですね。最近は専門学校や大学などではホワイトボードが設置されているところもあるようで、それもこちらのカテゴリーかと。
汎用的な字幅は中字でしょうか。基本的にはボードマスター中字平芯を使うと見やすいと感じていますが、平芯は慣れるまで少し使いにくい弱点があります。自信がない方はボードマスター太字丸芯を使ってみるのも一案です。中字平芯と太字丸芯でだいたい字幅が同じように感じます。
少し細めではありますが、ホワイトボードマーカー補充式も少人数の会議では十分使用に耐えます。
ホワイトボード・ミーティング®
ホワイトボード・ミーティング®は会議ファシリテーションのメソッドですが、どんな小さなつぶやきも残さず拾ってホワイトボードに書き留めることが大きな特徴です。要約や構造化が重視される一般的なファシリテーショングラフィックより、書く情報量がとても多くなります。

この場合はいつもより一段階ほど細めのホワイトボードマーカーを使うとよいと感じました。実際、ホワイトボード・ミーティング®認定講師の方が一般的な大きさのホワイトボード(横が1.8mほどある)にボードマスターS・細字で書いているのを見て衝撃を受けたことがあります。
そんな大きなボードに細い文字で書いて大丈夫? と思うかもしれませんが、ホワイトボード・ミーティング®は会議参加者同士の距離を近くとることも特徴なので、特に問題はないと感じました。
グラフィックレコーディング
ホワイトボードでグラフィックレコーディングをすることもたまにあります。
個人的には「大は小を兼ねる」の精神で、ボードマスターの極太を利用することが多いです。NeulandやEXPOなど海外の多色ホワイトボードマーカーも持っているのですが、ホワイトボードにグラフィックレコーディングするときは突発的なことが多いため、パイロットの5色でなんとかする、というイメージでしょうか。


絵を多く描くとなるとそれこそ書き癖の個人差が大きいので、これはいろいろ試してみていただきたいところです。ボードマスターはインクがスムーズに出るのでストレスは低いです。
モバイルホワイトボード
nu boardやバタフライボードなどの、持ち運びできるモバイルホワイトボード。


A4判以下の製品で一般的な話し合いに使う際は、細字のほうがよいでしょう。実はボードマスターS極細では少し線が太すぎるような気もして、ホワイトボードマーカー小型のほうが個人的には好みです。
A3判のnu boardやバタフライボード、カウネットオリジナルの「持ち運べるミーティングホワイトボード」など少し大きめのモバイルホワイトボードには、少し太めの字幅で消しかす少なめのホワイトボードマーカー補充式もよいかなと思います(ポータブルかつ公共のボードって汚れがそのままになりがちで、傷つきやすいのです)。
その他
ホワイトボードでカレンダーや行動予定表を管理されているオフィスもあるかと思いますが、これは枠に合わせた字幅を選ぶことになるでしょうね。不特定多数が使い、利用頻度が散発的なボードには強いて言うならば丸芯をお勧めしています。理由は、丸芯のほうが使い慣れている人が多いため相対的に読みやすい文字を書けるためです。平芯はそもそも書いた文字が潰れて、離れた場所からの可読性が下がりやすい印象があります。
まとめ
要は目的と書き癖に合わせていろいろ試してみてね、ということにつきます。もちろんパイロットの製品だけでなく、他のメーカーの製品も視野に入れて。当ブログをヒントとして使っていただければうれしいなと思います。
