トーキングオブジェクトとは
ワールドカフェなどの対話メソッドでよく使われる「トーキングオブジェクト」というツールをご存じでしょうか。
「トーキングオブジェクト」という、そのものの名前で売られているグッズではありません。石でもぬいぐるみでも何でもよいのですが、手に持てるものをグループに一つ用意します。発言をする人はそのオブジェクトを手に取り、発言が終わったら他のメンバーが持てるように元の位置に置きます。オブジェクトを持っているときだけ発言できる、他の人はその話をしっかり聞くというルールで対話を進めます。こうすることで、発言機会が偏るのを防ぐ効果があるとされています。
元はネイティブアメリカンの知恵と言われています。そのせいか石や工芸品などスピリチュアル感のある小物を好む人が多いような気がします(そもそも対話系メソッドが好きな人とスピリチュアル系は相性がよい)。手に持ってぐにゅぐにゅするなど、手触りが面白かったり心地よかったりする素材・形状のものがよいようです。発言するのってなんとなく緊張するので、手遊びでリラックスする効果も狙っているのかもしれません。
定番はクッシュボール
「クッシュボール」と呼ばれるゴムでできたポンポンのようなおもちゃはトーキングオブジェクトの定番です。持ってたら「ふぁさふぁさ」して面白いし、投げてもよしの逸品です。本来の趣旨と合っているのかどうか分かりませんが、発言を回していく意図でキャッチボールのようにオブジェクトを投げていくこともやったりします(ただ、むりやり発言させることのないように願います)。そのとき、うまくコントロールできないほうが場が暖まります。
ただしこのクッシュボール、独特のゴムの匂いがいつまでも取れません。手にも独特の匂いがついてしまいます。
また、お値段が安定していないのもあまりよろしくない。参考までにアマゾンへのリンクを貼りますが(踏まなくていいです、サムネイルを見てください)、日本で正規代理店として販売しているところがなさそうなのです。ときどき変な値段が付いています。そういう事情もあって私自身も手を出しにくいし、他の方に勧めるのもどうかと思うグッズでもあります。
お手軽版を考えてみた
とはいえ、トーキングオブジェクトはうまく使うとほんとうにスムーズに話ができるのです。とある対話系ワークショップ開催にあたりお手軽に試す方法はないかと、100円ショップで探してみました。
目に付いたのはこちら。スポンジでできたボールと、衣類圧縮袋。
これを
こうして
こうじゃ!
圧縮袋は単に持ち運びを楽にしたくて採用してみたので必須ではありませんが、袋を開けて少し置くとちゃんとふわふわに戻るのでなかなか便利でした。
スポンジボールのトーキングオブジェクトとしての性能は、必要十分です。もみもみと手遊びができますし、投げればややノーコンになるところがよいと思います。場によってはスピリチュアル度の高いグッズがワークショップに対する警戒心を高めることもありますが、このような100均グッズであればハードルが下がるのではないか、と個人的には感じています。
実は難しいトーキングオブジェクト
といろいろ書いてみましたがトーキングオブジェクトの「もの」じたいはたぶん何を使っても、効果はそんなに変わらないのではないかと思います。それよりも重要なのは、トーキングオブジェクトを使って話すことができるかどうかです。オブジェクトを持ち続け、話し続ける人。オブジェクトなんか関係なしに話しまくる人。そんな人を見る機会は多いものです。
それはやはりプログラムのデザインやインストラクションによって起きたり起きなかったりするように思います。グループを構成するメンバーによっても大きく変わるし、これさえあればよい対話になるというものではないだけに難しいと感じることしきりです。