セミナーで紹介している参考図書をまとめました

2020年版おすすめ書籍 03_ファシリテーション文具案内

セミナーやワークショップなどで「書くファシリテーション」やグラフィックレコーディングのスキルをお伝えすることに正直これまであまり積極的ではありませんでした。限られた時間の中では「書く/描く」だけにフォーカスがあたりがちで、ファシリテーションよりも「手芸のように、手を動かす楽しみがメインのノートテイキング講座」になることを危惧していたためです。イラストを描くことに比べたら、ファシリテーションは面白くないですからね……。

そんな状況にもかかわらず、セミナーを開催する機会も多くいただいてきました(どちらかというと「トレーニング」かな)。その中で必ず話題に上るのが「参考図書」です。プログラムのなかではどうしても終盤、時間がギリギリな場面でご紹介するため、いつもなんとなく話し足りません。そこで今回は、2021年春の今おすすめしたい書籍を集めました。セミナー開催時はいろいろな事情で「グラフィックレコーディングセミナー」と銘打つことも多いですが、私がご紹介している内容はいつも「描くのが多めのファシリテーション」なので、そちら方面に主眼を置いています。書籍は、ファシリテーションとビジュアライズそれぞれの視点から「実践編」「総合編」を一冊ずつピックアップしました。書影はAmazonからとっていますが、hontoへのリンクもその下につけています。

ファシリテーション視点で

世界で一番やさしい会議の教科書

本書は「すぐに実践編」です。理屈とかどうでもいいので、とにかくすぐ現場の会議で「決めなきゃならないんだ!」という方はまずこの本を手に取ってみてください。

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世界で一番やさしい会議の教科書

オススメすぎて別に記事を書いているので、ぜひお目通しいただければ。あまりに推したくて「ファシリテーション文具案内」なのにいっさい文具に絡めたことを書けなかったほど推しています。

「書く」ことだけではなく、日常の会議で使うひととおりのファシリテーションスキルを解説した本ですが、通読すると「書く」スキルは比較的とっつきやすいのにとてもパワフルだとおわかりいただけるのではないかと思います。

ファシリテーション入門 第2版

こちらは「ファシリテーション」というアクティビティの総体を概観できる教科書といってよいかと思います。2004年発行の旧版を2018年に改訂したロングセラーです。

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ファシリテーション入門 第2版

話し合いの場では何がどのように進んでいるのか? 何がポイントなのか? が言語化されており、また広く読まれている本なので共通言語が身につきます。ファシリテーションは共同作業なので、広く伝わる共通言語を持っておくと場作りのプロセスがとても楽です(反面、それらは「限られた領域での業界用語」であるという自覚も強く持っておかないと、よくある「しゃらくさいワークショップ」の原因ともなり得ます)。

もちろん「書く/描く」ことも大きなプロセスの中の一つの要素ですから、この本の内容はグラフィックが場に資するために欠くことができないと日々感じています。

ビジュアライズ視点で

なんでも図解 絵心ゼロでもできる!爆速アウトプット術

ビジュアライズ指南書では2020年に発売されたこちらが「すぐに実践編」としてとても優れているかと思います。日本の著者による類書の中ではアイコンや作画の例がもっとも簡易で、かつ「その場で書き留める」ことに重点を置いています。「図解」と銘打ってはいるものの、本質は会議でリアルタイムに求められる事柄を押さえている「ファシグラ」の本だと感じます。

特にp.146の「聞いて書く」練習法について触れたコラムでは〝ニュースやYouTubeを練習素材に使うのはオススメしない。ふだんの会話を聞いて書く〟ことを推奨されているのが非常によいと思います。というのも、私たちがファシリテーションのために書くべき発話はテレビ番組や講演などと比べるとびっくりするくらいとっちらかっていますから、会話で練習するのがもっとも合理的です。描く目的が課題解決であれば、ぜひこの本から始めてみてください。

ファシリテーション・グラフィック―議論を「見える化」する技法

『ファシリテーション入門』に引き続き堀公俊さんの関わる本ですが、教科書的に世界を概観させる堀さん(と、加藤彰さん)らしい内容は出版から15年になろうとする今も色あせません。いや、文具などのツールに関する記述だけは少々色あせたので当ブログをどうぞよろしくお願いします笑。

ファシリテーションの基礎を身につけた人が個々のスキルを伸ばすべく次に手に取る本がこの「ファシリテーション・スキルズ」シリーズですので、いきなり読むにはややハードルが高いかもしれません。網羅的な内容のため、テクニックが高度だと言われることもあるようです。

すでに古典となった趣もある本書(と言ったら堀さんに笑われた)ですが、今なお必読書と私が考える理由は、豊富に掲載されている実際の作例写真にあります。文字や色使いなどは、決して見やすいものばかりではありません。昨今の美しい「グラレコ」を思い浮かべると、自分でもこれをやってみたい! とは思いにくいかもしれません。また、NPO勉強会内での作例のためテーマがぬるい(=ビジネスに役立たない)といわれることもありますが、私はこのリアルなプロセスが掲載されていることが価値だと感じます。ファシグラは完成した結果だけ見てもあまり意味がないのだな、プロセスを補助する道具なのだと実感できる書籍なのではないでしょうか。私はその点を大事にしたいと思います。

番外編

VISUAL THINKING / VISUAL DOING

ときどきしかご紹介しませんが、カバー写真に含めてしまっていたので簡単に。

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VISUAL DOING 仕事に役立つ、ビジュアル活用ガイド

日本語版が入手できる洋書のうち、もっともbikabloに近いコンセプトで書かれている本かと思います(『UZMO』からの引用もあります)。事例や訳はマーケティングやデザイン業界の文脈に少々偏っている印象があります。「ビジュアルなんちゃらとか言ってるけど、それ昔ながらの(ビジネススクールで習う系の)フレームワークじゃないか!」と思う事例も多いのは、洋書あるあるです。フレームワークとビジュアルなんちゃらについては、また改めて書くと宣言しておきます。

おわりに

実はすべての本をこれまでのセミナーでご紹介してきたわけではなく、この4冊は「今オススメするならどれだろう?」という視点で選んでいます。ただ、セミナーでお話する内容はこれらのエッセンスなのでそんなにウソやええかっこしいでもないのかなと。他の書籍についてもまた改めて書きたいなと思っています(がんばる)。

なお、(番外編以外)著者の方々全員と私は面識がありますが、それを理由に特別に推しているわけではなく、活動していたらなんとなく面識ができていくような狭い世界だとご理解ください。

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